菓子先輩のおいしいレシピ
みくりちゃんはバーガーを持ち上げたまま、緊張した面持ちで固まっている。ここは私が先に勇気を出さなければ……!
軽く手でつぶしたバーガーに、意を決してかぶりついた。思いっきりあけた口の中に、ソースの甘み、アボカドのコク、パティの肉汁がいっぱいに広がる。
「……おいしい! ハンバーガーって、こんなにジューシーだったんだ!」
上手には食べられなくて、手や口のまわりがべたべただったけれど、そんなことは気にならなかった。
「野菜もしゃきしゃきでおいしい! 厚く切ったたまねぎも、火を入れたから甘くてとろっとしてる」
私の様子を見て、みくりちゃんも大口をあけてハンバーガーにかぶりついた。
「おいしい……」
みくりちゃんが感極まった様子でぽつりとつぶやく。その後、私たちは一言も話さずに夢中で食べ続け、大きなハンバーガーをぺろりと完食してしまった。
「私……間違ってたんだね。ハンバーガーって、お上品に食べるものじゃなかったんだ」
ひと息ついて食後のアイスティーを飲みながら、みくりちゃんが静かに話し出した。
「あのとき食べたハンバーガーは味がしなかった。今日はこんなにお行儀悪く食べていたのに、すごくおいしい」
そう言ってうつむき、自分の手のひらをじっと見つめる。指先がソースでべたべたになってしまい、思わずぺろっとなめてしまった私を見て、みくりちゃんも笑いながら指をなめていた。
「ハンバーガーがきれいに食べられるようになったら、彼氏の前でも失敗しないで食事ができると思ったんだ。
でも……私、失敗してもいいや。いつも通り、大口をあけてハンバーガーを食べてみる。だって、おいしいものをおいしく食べられない相手なんて、付き合っていても楽しくないもの。
……そうですよね? 百瀬先輩」
菓子先輩は、それがいちばん大切なことよ、と言って朗らかに微笑んだ。
軽く手でつぶしたバーガーに、意を決してかぶりついた。思いっきりあけた口の中に、ソースの甘み、アボカドのコク、パティの肉汁がいっぱいに広がる。
「……おいしい! ハンバーガーって、こんなにジューシーだったんだ!」
上手には食べられなくて、手や口のまわりがべたべただったけれど、そんなことは気にならなかった。
「野菜もしゃきしゃきでおいしい! 厚く切ったたまねぎも、火を入れたから甘くてとろっとしてる」
私の様子を見て、みくりちゃんも大口をあけてハンバーガーにかぶりついた。
「おいしい……」
みくりちゃんが感極まった様子でぽつりとつぶやく。その後、私たちは一言も話さずに夢中で食べ続け、大きなハンバーガーをぺろりと完食してしまった。
「私……間違ってたんだね。ハンバーガーって、お上品に食べるものじゃなかったんだ」
ひと息ついて食後のアイスティーを飲みながら、みくりちゃんが静かに話し出した。
「あのとき食べたハンバーガーは味がしなかった。今日はこんなにお行儀悪く食べていたのに、すごくおいしい」
そう言ってうつむき、自分の手のひらをじっと見つめる。指先がソースでべたべたになってしまい、思わずぺろっとなめてしまった私を見て、みくりちゃんも笑いながら指をなめていた。
「ハンバーガーがきれいに食べられるようになったら、彼氏の前でも失敗しないで食事ができると思ったんだ。
でも……私、失敗してもいいや。いつも通り、大口をあけてハンバーガーを食べてみる。だって、おいしいものをおいしく食べられない相手なんて、付き合っていても楽しくないもの。
……そうですよね? 百瀬先輩」
菓子先輩は、それがいちばん大切なことよ、と言って朗らかに微笑んだ。