約束と契約
桜の花が雪のように舞う中で、私は一人空を見上げた。
太陽はジリジリと照らし体温を上げる。
通学路で見かけたツクシは幻だったのかと疑う程に。
「これじゃあ、まるで真夏じゃない。」
額にジワリと滲む汗を腕で拭い門を潜ると
美しい庭園が目に入った。
「お姉ちゃんが言ってたお庭ってこのことね。手入れが届いてて綺麗・・・。」
時間がギリギリだからか、周りに生徒は見受けられず止めていた足を急かした。
張り出されていたクラス表にはAと表記されていたので、階段を昇ることなく
クラスへ辿りつくことができた。