彼がメガネを外したら…。 〜彼女の証〜
「それじゃ……、君は俺の彼女なのか?」
泣いている絵里花に、おずおずと史明は問いかけてみる。すると絵里花は、涙で潤む目をあげて、史明をじっと見つめた。
「……違うんですか?」
「…………」
史明は絵里花の眼差しから逃げるように視線を泳がせ、右手を顎に当てて考え込んだ。どうにかして思考を整理しようとしたけれど、戸惑い混乱していた。史明の人生の中で、〝彼女〟という存在を経験したことがなかった。
「それじゃ……、俺は君の彼氏なのか?」
「……嫌なんですか?」
それを確認しようとする絵里花の表情が、哀しみを帯びて張り裂けそうになった。
その顔を見てしまうと、史明はいつものような無関心を装うことはできなくなり、焦ってとっさに首を横に振る。
「いや、嫌じゃない。……ただ、彼氏って何をしたらいいか……。俺は何も分からないから、また君をイライラさせるかもしれない」
史明のその言葉を聞いて、絵里花は鼻をすすりながら涙を拭っていたが、もう泣く必要はなかった。だって、史明は絵里花のことを〝彼女〟だと認めてくれたのだから。