引き寄せ♡しあわセイション



えっ⁉︎
「またそんな勝手な事を…」

中谷の声がラーメン屋に響く。
いつだってこいつはボリュームの加減が壊れていて困る。

中谷のデカい声が気になる所だが、
幸いにも昼食には少し遅いこの時間帯に
店内の客は俺達の他に1組の大学生しか居ない。


「一応芸能人なんですからね!
ピアノ教室に一人で乗り込むとかって…
ホント辞めて下さいよー
困るなぁもう」

本当に困ったというように
中谷は持っていた箸を俺に向けた。


「箸を人に向けんじゃないよ
大袈裟なんだよ。
お前の考えもリアクションも…」



「大袈裟〜⁉︎
忘れたんですか!
あーもー、忘れてるこの人!
あーもー困る。本当に嫌だ。

前に突然気が向いて満点の星空を見てみたいなんて言って
後先考えずに夜の海目指して車を走らせて
翌日まで連絡がつかなくなった事が有ったじゃないですか!」

「あれは…」

深夜の作曲中に、メロディーが降りて来ないからインスピレーションを求めてつい…

「連絡つかなくて困った僕の気持ち分かりますか」

「や、今回はただピアノ教室に通おうかなと思って話を聞きに行ってみただけで」

「だから、
前にも言ったじゃないですか。
ピアノ教室なら僕が手配するって…」

中谷は大袈裟にため息をついた。







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