甘い恋は復讐の後で
17.口を出た本音
　なんとか無事にマンションに着いても莉緒の機嫌は直りそうもない。

「シャワー浴びてくる。」

　俺が何か言ったところで無視だしよ。

「おい。どっか行くなよ？」

　ダメ元で呼びかけてみると一応は返事があった。

「どうしてですか？」

「それは………心配だからだ。」

「どうして？」

「どうしてって。」

　何を言えばいいんだよ！

　俺から距離を取って離れた場所にいる莉緒は無表情な顔をさせて抑揚のない冷めた言葉を吐く。
　まっすぐ向けられた視線は俺を見ているのかどうかさえもよく分からない。

「彼女いらっしゃるんでしょ？」

「は？」

「だって見ました。」

　莉緒は顔を俯かせて黙ってしまった。

　見たって………。
　あぁ。なんだ。それで。

　髪をクシャクシャとかいて気持ちを吐露した。

「あれは妹だ。
　信じないならそれでいい。
　俺は……こんなドロドロになるくらいお前が、、、、心配なんだよ。」

　またしても無言。

　それでも今度は顔を上げて俺を見た。
　その上げた顔は潤んだ瞳で俺を見つめた。

　だからその目……。


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