甘い恋は復讐の後で
「れ、伶央さん、服!
 それにまだ!床が水浸し!!」

 騒がしい莉緒を抱き竦めて耳元で囁く。

「キスしていいか?」

「………ッ。それは……。その。」

「嫌ならしない。」

 莉緒は真っ赤な顔をさせて小さく頷いた。

 それを視界に映すともうダメだった。

 性急に顔を近づけて噛み付くように唇を重ねた。
 息をつく間も惜しくて何度も何度も。

 胸をたたかれてやっと息をつくと「ごめん。余裕なくて。ちゃんとする」と謝ってからゆっくりと唇を重ねた。

 今度は優しく重ね合わせると手で頬を包んでそっと撫でる。
 唇を離すと手に頬をすり寄せた莉緒に胸が締め付けられた。

 抱き上げて寝室に運ぶ。
 ベッドに下ろすとおでこにキスを落とした。

「あ、あの。私、初めてで。」

 しがみついて訴えた莉緒に胸が壊れそうなほど音を立てる。

「あぁ。優しくする。」

「でも……あの……。」

「嫌?俺のこと嫌い?」

「それは……。」

 ずるい聞き方だ。
 そんなことは分かってる。

 俺は………。
 今だけ。今だけ言ってしまいたい。


< 141 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop