甘い恋は復讐の後で
 目を開けると目の前に伶央さんの顔があってドキリとする。
 穏やかな寝顔はいつか見たうたた寝の伶央さんと同じだ。

 夢みたいな出来事は夢じゃないって体のダルさとつらさで実感する。

 どうしよう。私、伶央さんと……。

 伶央さんの髪は私がクシャクシャにしたせいで後ろに流れていた。

「伶央さんの目を見てたい」って訴えた私に「じゃそうやって髪をクシャクシャにしてて。莉緒が髪に触れるとゾクゾクする」って甘い声で囁かれた。

 莉緒って……呼ぶのずるいし。

 昨日はずっと伶央さんの色気に当てられてあられもない伶央さんを思い出すだけで、もう………。

「何、赤面してんの?」

 いつの間にか私を観察していた伶央さんと目があって、ますます顔が熱くなる。

「お、おはよう、ごさいます。」

「おはよ。」

 甘い雰囲気は皆無で通常運転の伶央さんに恨めしい気持ちになる。

 だって昨日はあんなに………。


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