甘い恋は復讐の後で
「伶央くん。君……。」

 怒っているのが電話の空気感でも分かる。

「俺はあなたとは違う。
 莉緒のことは真剣ですから。」

 そう宣言して電話を切ってやった。
 フッと軽い笑いを吐いて携帯を莉緒に戻した。

「伶央さん!
 あんなこと宣言して大丈夫なんですか?
 兄は私に近づいてきた男の人を全部揉み消して………。抹消して。」

「莉緒の兄貴はどんなマフィアだよ。」

「笑い事じゃないんです。本当ですよ?」

 知ってる。
 郁から、俺の妹から嫌というほど聞かされた。

 尚之さんのことも妹が莉緒ということも。
 その莉緒を溺愛してることも。

「いいから。
 莉緒も尚之さんに過保護にされ過ぎて世間知らずだ。
 尚之さんにそのことを伝えた方がいい。」

「でも電話……切っちゃったし。」

「どうせここも知ってるだろ。
 あの人なら。」

 俺の方の電話が鳴って、まさか電話番号まで尚之さんに……と思ったら電話は郁からだった。

 電話に出ると特に説明しないまま郁に告げた。

「丁度いいから俺ん家においで。」

 理解しているのかいないのか、郁もマンションに来ることになった。

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