甘い恋は復讐の後で
 マンションに着くと手を繋いでいた恥ずかしさから解放されたくて慌ててソファまで逃げるように駆けた。
 1人掛けソファに座ってパーソナルスペースを死守する。

 伶央さんはそんな私を一瞥するとカウンターの方へ座るみたいだ。

 私は携帯を開いていつものサイトに書き込んだ。
 そしていつものように投稿ボタンを押す。

 ブーッブーッ。

 すぐ近くで携帯が騒がしくなって顔を上げた。

 嘘……。
 だって、そんな………。

 私の動揺をよそに、カウンターに座っていた伶央さんは携帯を手にした。

 こちらに背を向けて座る伶央さんがどんな表情なのかは分からない。

 何か操作をして、それから頭をクシャクシャとかいてから振り向いた。

「これを本人に言ってどうしろって?」

 居心地が悪そうな顔をしている伶央さんの手の中にある携帯は相談サイトが開かれており、画面を見せつけるようにこちらへ向けている。

 それはついさっき私が送ったメッセージ。

【やっぱり彼は悪い男でした。
 それなのに……。
 大好きで。
 どうしていいか分かりません。】

 だって、いや、ハス様が伶央さんってことは知ってるんだけど、受信した連絡は入らないんじゃ……。

 目の前ですぐ見られるとは思っていなくて、目を泳がせて俯いた。

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