甘い恋は復讐の後で
「次の休みに莉緒の親に挨拶に行こう。」

「挨拶!ですか?」

「あぁ。居候じゃなく同棲になるだろ?
 挨拶しないわけにはいかない。」

 急に真面目な声を出す伶央さんにクスクスと笑いが込み上げた。
 やっぱり『律儀な男』なんだ。伶央さんって。

「何がおかしいんだよ。」

「なんでもありません。」

「ったく。
 もう他の男を頼ったりするな。」

「他の、って。」

 ハス様のことを言っているんだよね?

 私の心を読んだように伶央さんが続けた。

「あれは虚像だ。
 あんなのに頼らないで俺に言えよ。」

 それは、だって。
 本人じゃないって思うから相談できることもあるんだけどな。
 いえ、本人なんですけどね。

「もうハス様にはメッセージを送ってはダメなんですか?」

「人を呪えば穴二つなんだろ?」

 突然の質問に目を丸くした。
 けれどその言葉には聞き覚えがあった。

 確かに私がハス様のハンドルネームの理由を聞いた時にそのことわざをもじった。

 伶央さんに人を恨んでいて欲しくなかった。
 だからその思いをメッセージに込めた。

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