甘い恋は復讐の後で
 ビリヤード場と昨日のバーは中で繋がっていたみたいだ。
 伶央さんに倣って『Bre Crazy』のカウンターに腰をおろした。

 もしかしてハス様が伶央さん?
 でもまさかそんな偶然………。
 
 色んな思いが交錯してノンアルコールのはずなのに酔ってしまいそうだ。

「あんた……。兄弟は?」

「兄弟は……兄が1人。」

「…………そうか。」

 そこから黙ってしまった彼に、私も黙ったまま。
 心の中では嵐が吹き荒れていた。

 ハス様が伶央さんなら、気持ち悪いオジサンではない。

 でもイメージとは少し違う。
 ハンサムではあるけど、ハス様はもっと雰囲気も何もかもが優しくて……。

 一言、相談サイトのハス様ですか?と聞けばいいのは分かってる。
 けれど確認するのが怖い。

「お前はもう帰った方がいい。」

 伶央さんの言葉にハッとして顔を上げた。

 今日は穏やかだったはずの伶央さんの横顔が氷よりも冷たく変わっていて戸惑いながらも店を出るような伶央さんの後に続いた。













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