甘い恋は復讐の後で
シャツを返しに行く決心をつけて『Bar Crazy』の扉に手を掛けた。
しかし扉は開かない。
伶央さんに会わないようにお昼時間に抜け出して来てみたけれど、どうやらお店には鍵が掛かっているようだ。
当たり前だ。
バーなのだから営業は夜。
表には『close』と書かれた看板がぶら下がっていた。
裏口に来ても同じだった。
肩を落として帰ろうと来た道を戻っていると声を掛けられた。
「どうしました?
伶央くんのお知り合いのお嬢さんですよね?」
振り返るとにこやかな笑みを浮かべたマスターが立っていて安堵の笑みをこぼした。
そして当初の目的だった袋を差し出した。
「これ……。
伶央さんに渡してもらえませんか?」
「会っていかないんですか?
直接渡してやってください。」
マスターの優しい声が心に染みて涙が出そうになりつつも首を横に振った。
「もう姿を見せるなと言われたので。」
「………そうですか。」
私の手の中が軽くなってシャツはマスターの手元に移動した。
今度こそ泣けてしまいそうで慌てて頭を下げると会社へと急いだ。
もう彼と繋ぐものは無くなってしまった。
シャツを返したいからとお店にくる口実もシャツを見るたびに思い出す日々も終わりだ。
仕事で繋がりはあるけれど……ただの仕事相手。ただそれだけだった。
しかし扉は開かない。
伶央さんに会わないようにお昼時間に抜け出して来てみたけれど、どうやらお店には鍵が掛かっているようだ。
当たり前だ。
バーなのだから営業は夜。
表には『close』と書かれた看板がぶら下がっていた。
裏口に来ても同じだった。
肩を落として帰ろうと来た道を戻っていると声を掛けられた。
「どうしました?
伶央くんのお知り合いのお嬢さんですよね?」
振り返るとにこやかな笑みを浮かべたマスターが立っていて安堵の笑みをこぼした。
そして当初の目的だった袋を差し出した。
「これ……。
伶央さんに渡してもらえませんか?」
「会っていかないんですか?
直接渡してやってください。」
マスターの優しい声が心に染みて涙が出そうになりつつも首を横に振った。
「もう姿を見せるなと言われたので。」
「………そうですか。」
私の手の中が軽くなってシャツはマスターの手元に移動した。
今度こそ泣けてしまいそうで慌てて頭を下げると会社へと急いだ。
もう彼と繋ぐものは無くなってしまった。
シャツを返したいからとお店にくる口実もシャツを見るたびに思い出す日々も終わりだ。
仕事で繋がりはあるけれど……ただの仕事相手。ただそれだけだった。