甘い恋は復讐の後で
7.ウサギ狩り
 緊張しながら待ち合わせで人を待つ。

 食事をしようと森崎さんが松永さんを誘った。

「いつもの元気さがない莉緒が心配。」

 そう言う森崎さんに賛成だった。
 少しでも外に連れ出してそれで元気になってくれるなら、と。

 それが…どうだ。

 当日、今朝になって三人で行くはずだったのに、森崎さんが気を利かせたのか、私は行かないでおくから頑張って。と、軽くメールが送られてきた。

 頑張ってって何を………。

 そこから今、待ち合わせ場所で立っている今までの記憶が不明確だ。
 いっそ記憶喪失で逃亡したい。

 いや、ダメだろ。

 頭をかいているとクスクス笑う声が聞こえて我に返る。

「大谷くんって百面相だったんだね。」

 可愛らしい笑顔で言われて胸がひっくり返って鼓動を速めた。

「森崎さん……来れないらしいね。」

「うん。」

 心底、残念そうな松永さんに心がズキリと痛んだ。

「花奈が来れないなら解散にしておく?
 食いしん坊な花奈は私たちだけ食べに行ったら残念がるだろうし。」

 いつもの俺なら「そうだね」と同意していただろう。
 本当に森崎さんは普段なら残念がりそうだ。

 しかし今日は「意気地なし」くらいは言われそうな気がして自分を奮い立たせた。

「せっかくだし行こうよ。」

 驚いた松永さんを横目に断られる前に歩き出す。

「大谷くん!ちょっと!!」

 あぁ……やっぱり断られ………。

「お店、あっち。」

 笑って指差した松永さんに苦笑した。
 どこまで緊張してるんだか。





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