甘い恋は復讐の後で
9.可愛い子猫ちゃん
今までの人生でバーとは無縁だった。
お酒は苦手だったし、何より兄の過保護のせいで健全な生活を余儀なくされていた。
晴れて一人暮らし。
誰に気兼ねするわけでもない。
洋楽が小さくかかる薄暗い店内はオレンジのライトが控えめについているだけで会話する人との距離を近くさせる。
飲み込まれそうな大人な雰囲気の中で、私はただ一人カウンターに座っていた。
マスターは何も聞かずにノンアルコールカクテルを出してくれる。
出し続けてくれている。
伶央さんはいる。
けれど何も話しかけられない。
それどころかお客の女の人と親しげに話している。
その距離がとても近くて見ていられない。
そういえば伶央さんがバーテンダーとしてお店に出ていてその上お客がいる時に来たのは初めてだ。
馬鹿みたい。
ちょっと連絡先をもらったからって舞い上がって、のこのここんなところに来て。
彼にからかわれたってことにも気づかないなんて。
「マスター。もう帰ります。
お会計お願いできますか?」
「はい。」
マスターはやっぱり何も聞かずにただ微笑むだけだった。
お酒は苦手だったし、何より兄の過保護のせいで健全な生活を余儀なくされていた。
晴れて一人暮らし。
誰に気兼ねするわけでもない。
洋楽が小さくかかる薄暗い店内はオレンジのライトが控えめについているだけで会話する人との距離を近くさせる。
飲み込まれそうな大人な雰囲気の中で、私はただ一人カウンターに座っていた。
マスターは何も聞かずにノンアルコールカクテルを出してくれる。
出し続けてくれている。
伶央さんはいる。
けれど何も話しかけられない。
それどころかお客の女の人と親しげに話している。
その距離がとても近くて見ていられない。
そういえば伶央さんがバーテンダーとしてお店に出ていてその上お客がいる時に来たのは初めてだ。
馬鹿みたい。
ちょっと連絡先をもらったからって舞い上がって、のこのここんなところに来て。
彼にからかわれたってことにも気づかないなんて。
「マスター。もう帰ります。
お会計お願いできますか?」
「はい。」
マスターはやっぱり何も聞かずにただ微笑むだけだった。