甘い恋は復讐の後で
2.20代前半の女
 俺はいつも夢を見る。

 捜し出したアイツに同じ目に遭わせてやるんだ。
 何も知らずへらへら笑う平和ボケした顔を歪ませて……。

「伶央くん。
 ゴミ捨てもお願いしますね。」

「……はい。」

 マスターの呼びかけに現実へと引き戻された。
 オープン準備をしながら外にゴミ出しに行く。

 まだオープンには早いこの時間は夕焼けが目に染みた。
 俺の世界は無意味で無機質な毎日が続いていてそんな日々に飽き飽きしていた。

「なぁ。いいだろ?」

「よくありません!」

「暇そうだし、俺たちと遊ぼうぜ。」

 耳障りな声が聞こえた。
 夜にでもなればよく耳にする雑音。

 それにしても、まだ夜にもならないこんな時間から……なんとも暇な奴らがいるもんだ。
 言い争う声の方を見るともなしに視界に入れると二人組の男に若い女が絡まれている。

 年の頃は20代前半。
 胸がドクンと騒いだが、俺には関係ないことだと店へと足を向ける。

 大きな道から一本奥に入った歓楽街の端。
 それもここから先はタチの悪い店が多く立ち並ぶ治安はイマイチな通りの入り口。

 こんなところに世間知らずそうな奴が来ること自体が甘い。
 社会勉強していけばいい。







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