甘い恋は復讐の後で
 思いもしなかった人が会社の外で待っていて、その人は私に向かって軽く手を上げた。
 空いた口が塞がらないとはこのことだ。

「どうして………。」

「心配だったから。」

「頼んでません。」

「いいじゃないか。一緒に帰ろう?」

「帰らない!!」

 しょんぼりしてしまったその人にため息を吐いて仕方なく誘った。
 言い争っていると道行く人にもジロジロ見られて居た堪れないし。

「………ご飯くらいなら。」

「さすが莉緒!」

「ご飯を食べたら帰ってよね!
 お兄ちゃん!!」

 嬉しそうな兄に念押しする。

 最近、大人しいと思ってたら、いきなり押しかけるなんて!

「いいから食事に行こう。」

 満面の笑みで誘う兄に「まったくもう」と文句を言いつつも後に続いた。









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