甘い恋は復讐の後で
 連れて来られたのは有名中華料理店の個室だった。
 小声で兄に抗議する。

「やり過ぎだよ。
 二人しかいないのに。」

「まぁまぁ。いいじゃないか。
 久しぶりの兄妹水入らず。」

 楽しそうな兄にまぁいいか。と諦めることにした。
 言い出したら聞かない兄だ。

「一人暮らしはどう?
 寂しくない?」

「寂しくない!」

 寂しいって言って欲しいんでしょうけど!

「そう。」

 いつになく素直な兄に拍子抜けする。

「どうしたの?お兄ちゃん。」

「ん?」

「いつもなら「お兄ちゃんは寂しかったぞー!!」とか大騒ぎするんじゃない?」

 お兄ちゃんは微笑んで頭を撫でた。

「莉緒の元気そうな顔を見れて安心したんだ。」

「お兄ちゃん……。」

「ほら。
 そんなことより何が食べたいか選んで。」

 少し冷たくし過ぎたかな。
 そう反省して兄の勧めるメニューを手に取った。





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