甘い恋は復讐の後で
 子どもの頃の昔話をしながら楽しく食べて店を出た。
 美味しい食事をご馳走してもらえて大満足だ。

「アパートまで送るのは諦めるよ。
 お兄ちゃんには教えたくないんだろう?」

 哀愁を漂わせる兄に苦笑する。

「押し掛けたりしないならいいよ。」

「いいのか!?」

「押し掛けないでよ?」

「そんなことしないよ。」

 本当かな……。

 疑いの眼差しを送ると「絶対!」と言う兄に吹き出して「じゃ送ってもらおうかな」とアパートへの道を歩き出す。

「母さんが「お兄ちゃんも一人暮らしでもしなさい」って言うんだ。」

「そうなの?
 でもお兄ちゃん一人暮らししてたことあるよね?」

「まぁ。だからもういいかなって。」

 私の一人暮らしはものすごく反対したくせに自分は社会人二年目くらいに早々に一人暮らしをしていた。

 そして一年くらい一人暮らしした後に実家に戻ってきて、そこから溺愛がひどくなった気がする。
 本人は離れてた反動だって言うけど。





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