甘い恋は復讐の後で
　伶央さんが連れて来たのはBar Crazyでもなく、隣のビリヤード場でもない、ごく普通のビリヤード場。
　店内は明るくてしっとりとした雰囲気を楽しむというよりもビリヤードをスポーツとして楽しむ感じに思えた。

　年齢層も若く学生みたいな人が楽しそうにビリヤードしている。

　先に受付を済ませて台の元へ歩く伶央さんの後に続く。
　台の近くには椅子とテーブル。
　どこも同じような配置らしい。

　伶央さんはボールや伝票をテーブルに置いた。
　そしてあの時みたいに携帯まで無造作にテーブルの上へ置く。

　置かれた携帯が視界に入って心臓に悪い。

「知り合いが奥にいたから挨拶だけしてくる。
　お前は……一人じゃ困るか。」

「いえ。気にしないでください。
　ちょうど友達にメールを送りたかったので。」

　気遣いを見せる彼に申し訳なく思う。
　ハス様じゃないかって疑っていて試そうとしているんだから。

　しかも今がチャンスなんじゃない！と瞬時に思った。




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