愛を私の音色に乗せて。
教室に入っても強い視線を感じ続けて、なるべく気配を消して机に向かうけど、
「ちょっとしぃ!?あのイケメン先輩とどう言う関係なの!?」
そんな努力の意味はすぐに無くなり、またしてもクラス中の注目を浴びてしまった。
「はるちゃん声でかい…
ちょっとこっち来て、」
とにかく人目につかないところに連れて行こう…
「で。人気者の先輩と登校とはどういう事なの」
「話すからそんな怖い目で見ないでよ…
あの先輩、私の幼馴染なの。」
「はぁ?!なにそれ知らなかったんだけど?!」
「それは私もなの、!もう何年も会ってなかったし、1年間留学してたみたいだから同じ高校なんて知らなかったんだけど、
昨日久々に会って…」
一緒に住む事になった経緯を話すと、
「はぁあ?!なにそれ急すぎる年頃の男女が同じ家で暮らすとか意味わかんないんだけど?!」
こうなるとは思ってたけど、ものすごい剣幕で捲し立てられる。
「しかもしぃって一人暮らしでしょ?」
「まぁ、ほとんどそうだね。」
「だめ絶対だめ。
こんな可愛い子と先輩を2人っきりにするなんて危なすぎる」
「危ないって…なにが危ないの?」
「危ないに決まってるじゃん!
しぃがいつ襲われるか心配過ぎる」
襲われるって、そんなことあるわけないじゃん〜
「あるわけないじゃん〜って思ってんでしょ?
しぃは純粋過ぎるからそんなこと言えるの!男なんて頭の中常に欲まみれなんだから本当に気をつけなね?!
あと、家だからってあんまり無防備にしない事。良い?」
…無防備?って何?
「はぁ…あなたのそう言うところ私は好きだけど。とりあえず、なんかあったらすぐ良いなね?」
…良い友達を持ったよ。私は。
「はるちゃん大好きだよ。」
「何それ無理かわいい。あぁ!本当に心配なんだけど?!
…ちょっと待って、その人って前に言ってた人?」
「あ、うんその人…」
何度かはるちゃんとの会話にちぃ君が出てきたから、良く考えれば知ってたね。
「なぁんだ、好き同士なら何の問題もないじゃん!」
「な?!好き同士って…いや違うよ、」
「何が違うのよ〜。先輩の話する時の紫音、いつも恋する乙女な顔してるよ?」
そうなの?!
「まっ、そのうちウブな紫音ちゃんにもわかる日が来るよっ」