愛を私の音色に乗せて。


「では、お大事にね。無理は禁物ですから」

「はい、ありがとうございました!」

やっと退院だ〜!

「行こう紫音」

「うん!」

家までは一駅で帰れるからそれほど心配いらないね。

「ちぃ君、毎日来てくれてありがとう」

「いいんだよ、俺が行きたかっただけだし。
本当は兄貴に車で迎えに来てもらいたかったんだけど、今日は無理らしくて…ごめんな」

「そんなのいいよ!
それにほら、体力戻さないといけないしっ」

ちょっとは運動しないと仕事行けないしね!
電車から降りて家まで歩く。

「はぁ…はぁ…」

…ダメだ。数m歩くだけで息が上がるこの現象は何なのでしょうか。

「紫音大丈夫?まだしんどい?」

違うんですちぃ君…しんどいんじゃなくて、

「心配しないで…体力無くて、歩くのが大変なだけ…」

私、こんなに弱かったの…?情けなさ過ぎない?
その後もちぃ君に助けてもらいながらなんとか家にたどり着いた。

もうクタクタ。これは運動しないといけないね
クーラーのかかったリビングに倒れこむ

はぁぁあ、疲れた…。

すると、

「紫音おいで」

ソファに座ったちぃ君が手を広げてる
それが合図のように、私はちぃ君に抱きついた

「おかえり」

「ただいま!ちぃ君好き大好き。」

「ちょちょ!?ちょっと待てって、
急に言うなよ…恥ずかしくて死ぬ…」

ちぃ君は片手で顔を隠してしまった。
入院中声が出なくて、言えなかったことをとりあえず言いたくて言いたくて。

ようやく顔をあげたちぃ君。

「俺も大好きだよ」

この笑顔。私の大好きな笑顔をしたちぃ君からお帰りのキスをもらった。


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