愛を私の音色に乗せて。
「まぁ、立ち話もなんだからお店の中入りなよ!」
「ありがとうございますっ」
「邪魔します…」
丸い扉を開けると、
「…か、可愛いっ」
温かみのある装飾で、部屋の中に広がる木の香りが凄く心地良い。
「はい、この近くで取れる柑橘の特製ドリンクだよ。
紫音ちゃんはレモンとか大丈夫?」
「はい!大好きです!」
ゼリーやヨーグルト、柑橘の果肉がたっぷりと入った爽やかなドリンク。
ジューシーという言葉はこの為に作られたんじゃ無いかと思うほどにみずみずしい。
「美味しい…すごい美味しいです…!」
「本当?嬉しいな〜!千翼君はどう?久しぶりに飲む俺のドリンクはっ」
「変わらず美味しいです。いつまでも飲んでられる」
そういうと黙々と果物を食べ始めた
「千翼君ね、中学くらいまではたくさん来てくれてたのに、高校生になってから全然来てくれなかったんだ〜
そしたら突然来週くるって連絡あったからすごい楽しみにしてたんだよ。
可愛い彼女さんも連れてきてくれて嬉しいよ!」
ちぃ君よくここにきてたんだ…
「急にきてごめんね伸二さん。
どうしても早くきたかったから」
「良いんだってば!それに、今日きたかった理由は何となくわかるしぃ〜?」
理由?なんだそりゃ…?
なんか伸二さん意味深な笑みしてるけど、
私はしばらく2人の会話を聞いていた。
「さすがですね…。」
「まぁね。あ、あの場所の鍵はもう開けてあるから好きに使ってね。
ただし、高校生だから8時までにはここでないといけないよ?
この年になって妹から怒られたくないからねっ」
と冗談めかしたことを言って、爽やかな笑顔を向ける伸二さんは、
ちぃ君と親戚なんだと納得できるほどにイケメンだった…
「…本当何から何までありがとうございます。
また家族でもここに来ますね」
「おう!楽しみにしてる!
って事でおれは帰ろうかな」
えぇ、伸二さん帰っちゃうの!?
「じゃあ俺たちも移動するか。行こう紫音っ」
少し楽しそうにしているちぃ君。