愛を私の音色に乗せて。


千翼side


「…んだよ、もぉ…」

紫音の言葉に踊らされてばかりで、その場にへたり込んだ。

「えへへっ、
これからもずっと一緒に笑っていようね、ちぃ君っ」

離れないとでも言うかのように、紫音はしゃがみ込んだ俺を抱きしめてくれた。

「…じゃあ、返事は、」

「もちろん、これからも末長くよろしくお願いします。」

この世界一可愛い笑顔と一緒に、これからも人生を歩んでいくことができると思うと
自然と顔がほころんでしまう。

「紫音、右手出して」

まだプロポーズは終了じゃない
俺は紫音の細い薬指に、キラッと光る指輪をはめた

「これからも大好きです。今はまだペアリングだけど…受け取ってくれますか…?」

「…いいの?こんなに綺麗なの、」

薬指を眺め、少し潤んだ目で見つめられる。

…はぁ、なんでこんな可愛いんだよ?
俺、紫音にこんな顔されたらどんな頼み事も聞いてしまうよ?

「もちろん。」

「…ありがとう。私もちぃ君大好きだよ!」

「わっ!ちょっと、急に飛びつくなよ」

「だって幸せなんだもん!じっとしてられないよ」

飛びかかってきた紫音を抱きしめ、愛おしさを再確認させられた。

「ありがとうちぃ君。私、すっごく幸せ!
これからもよろしくお願いします。」

「俺もすげぇ幸せ。こちらこそよろしくな」

俺自身がちゃんとした大人になるまでは、まだ少し時間がかかる。

でも紫音がどんどん有名になって
いろんな人と出会うようになって

俺から離れて行く日がくるかも知れないと、心のどこかで思っていてしまったんだと思う。
結婚できるっていう証がほしくて、今日18歳の誕生日をずっと待っていた。

まっ、紫音が俺から離れていくなんて事ありえないくらい愛情注ぎ込むし?
心配ねぇな。


< 202 / 261 >

この作品をシェア

pagetop