愛を私の音色に乗せて。
今日は初めて山城さんと仕事をする。
前会った時は挨拶しかできなくて、どういう人なのかすらわからなかった。物凄いオーラは出てたけど。
足引っ張ったりしないといいけどなぁ…なんて色々考えてると、オーラを纏った山城さんが現場に入ってきた。
…相変わらず綺麗なお顔でお美しいこと何の。
これから一緒に仕事をするというのに、隣に立つのが嫌になってきてしまっている。
私が見つめていたようで、山城さんがこちらに気づいた。
「あ、シオリンじゃん久しぶり!今日からよろしくねっ」
「はい!よろしくお願いします山城さ…」
「山城さんなんて堅苦しいからやめてよっ。下の名前で呼んで?俺もシオリンって呼んでんだから」
「いや、大先輩に馴れ馴れしすぎるかと…」
シオリン。とは私です。shionこと、伊藤紫音です。歌手としての「Shion」はまだ隠し続けているので、
『詩織 しおり』
と言う新しい名前をもらったのです。
そして、山城さんは私のことをシオリンとなんともまぁかわいらしい呼び方で呼んでくださる。
「唯斗って呼んでよ?」
「え、っと…」
これは…呼んでもいいものなのでしょうか?
「ほーらっ」
もう既に演技をしているのか?と言うほどかわいい駄々のこね方をしている。
「…では、唯斗さんでよろしいでしょうか?」
「うん、いいよ!もう撮影も始まるし、行こっか」
「はい!」