愛を私の音色に乗せて。
「うわーーーー、寒いーーー!!」
「…想像以上だな…」
2月は本当に寒い。
コートにマフラーもしても寒い。
「紫音、くっついて行こ」
そう言って私の腰を引き寄せ、歩き出した。
「うん、ちょっとあったかい!」
「だな」
久しぶりの道に気分が高鳴る
今は10時過ぎ。朝食でもなく昼食でもないブランチの時間だね〜
この時間はお客さんがすくなくて良いんだよねっ!
ガチャーーーーー
うわぁ…懐かしい…
「いらっしゃいま……
ええ!?!シオちゃん!?!本物のシオちゃん?!」
「わわわっ、ちょ、落ち着いてください庄司さん〜」
出迎えてくれた庄司さんに肩をガクガク揺さぶられている…
「あぁ、ごめん…!
…本当にシオちゃんだよね??」
「はい。お久しぶりです!」
本当に久しぶりだ。ただ、1つ気になったことが…
「…庄司さん、喋り方、どうしたんですか?」
私の代わりに隣にいるちぃ君が聞いてくれた
庄司さんはもともと「オネェ口調」で、
謝る時も、
「ごめんなさいね!」「ごめんね!」
とかだったのに、さっきは
「ごめん!」
って言った…
それに、声のトーンも低くなったような…
「あ、気づいた?
いやー、前来てくれた時にね、すっごいキラキラして見えたんだよ、
自分の夢のために何かを決断したシオちゃんが。
それがかっこよくてさ、僕も何か変えてみたら新しくなれるかもって思って話し方変えたら
「こっちの方が合ってる!」
ってなったわけなんだ
そんなに違う??」
「は、はい。声だけ聞いてたら誰だかわかりません…」
庄司さんの口からこんなダンディな声が出るとは、誰も思っていなかっただろう…
「本当!?やったね!
あ、こんな入り口でごめんね。笑
ささっ、どうぞ〜」
立ち話をしていた私とちぃ君をカウンターに案内してくれた
「注文どうする?」
「えーー、どうしよう迷う…」
メニューがたくさん変わっていて、目移りしてしまう
「俺はオムライスとレモンティーで」
「じゃあ私は、ハンバーグセットとホット柚子かりんで!」
「はい、かしこまりました!
少々お待ちくださいね〜」
庄司さんは料理を作るために厨房に入ってしまった