愛を私の音色に乗せて。









「…みーあーげてごらん〜、、


夜の〜、ほーしを〜…」




寒いベランダで、綺麗な夜空を見ながら口ずさむ




庄司さんの店から帰った後、ずっと防音室にこもって曲を作っていた




全部はできなかったけど、いい感じに仕上がってきた!






夜の空って、本当に綺麗…

吸い込まれそうな感じがとっても好き。




でも、悲しくて寂しい空間。

静かな空間は、この世界に自分しかいないようで、寂しいよね。





「…ちいさーな、ほーしの〜…

ちいさーな、ひかーりが…」



ぼーっと空を眺めていると、頬に冷たい雫が流れた




ああー…ダメだダメだ……




なんかだ、悲しくなってきた…




何かあったわけじゃないけど、そう言う気持ちになる。








「こーんなとこにいたんだ。


…え、どうしたの?」




ちぃ君がやってきた。


泣いている私を心配そうに見つめてくる





「何でもないよ。ただ、夜空を眺めてると悲しくなるって言うか、寂しくなるんだよね…」




「寂しくなるの?」




「うん…この世界に1人っきりなんじゃないかって…


そんな事ないんだけどね。笑」





たまにふと心配になるだけ。本当にそれだけだけど、何故か心が痛くなる。







「…紫音には俺がいる。

絶対に離れたりしないから、だから、

そんな悲しい顔すんなよ…」






ちぃ君の冷たい手が私の頬を包む。たったそれだけなのに、とてもホッとする





「…うん。ありがとうちぃ君」




流れた涙が心に染みて、潤していく感じがした





「それにしても寒いな…中入んないの?」



「んー…、もうちょっとだけここに居たいな。

ちぃ君中入ってていいよ!」





「…いや、一緒にいる。



それに、こうしてたらあったかい」




ちぃ君は自分で羽織っていた毛布と一緒に、私を後ろから抱きしめてくれた





「わぁ…、すっごいあったかい…!」



「冷たっ!!紫音どんだけ長い間外いるんだよ…」



私の手が想像以上に冷たかったようだね…




「20分くらい?」



いや、もっといたかも、?



「風邪引くなよ…?」



「今あったかいから大丈ー夫」







その後、風邪は引かなかったけどくしゃみが止まりませんでした











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