愛を私の音色に乗せて。
「そ、そうだったんだね……」
私のお母様、恐るべし…。
「…ちなみに、ハリウッドスターって誰ですか?」
ちぃ君がお母さんに尋ねる
「アンドリュー・ヘルメンよ」
アンドリュー・ヘルメン?!?!
洋画をほとんど見ない私でさえ知っているハリウッドスター…
「…お母さん、凄すぎるよ……」
「あら、お母さんが凄いんじゃなくて彼が凄いだけよ〜?
私より紫音の方が凄いじゃない!とっても有名になって…
いっぱい努力したのね…。」
少し寂しそうな表情を浮かべるお母さん。
久しぶりに会って、久しぶりに声を聞けて、
久しぶりに褒められた。
それが少し照れくさい。
「うん、頑張ったよ!
ちぃ君とまた会えたからねっ」
ちぃ君と再会してなかったら、今みたいに幸せな毎日を過ごせていなかっただろう。
本当に感謝だよ
「俺は何にもしてないよ?
紫音が頑張ったから…「あぁ!!!」」
「ええっ何お母さん?!」
ちぃ君の話を遮ってまで大きな声を出したお母さん
「紫音、千翼君ごめんね。私もう仕事に戻らないといけないの…
本当はもっと一緒に居たいんだけど……」
「…そっか…寂しいけど、
しょうがないよね…!」
「ごめんね、紫音…
いつもあなたに任せっきりで…
母親らしいこと出来なくて…」
「それは違うよ?
たくさん仕事をして、私を育ててくれたのはお母さんなんだから。
いつもありがとう。また帰ってきてね!」
小さい頃から仕事が忙しくて、なかなか一緒に過ごす時間が無かったけど
いつも私の事を応援してくれる。
私の大好きなこの世でたった1人の家族。
「…ありがとうっ。
あぁっ、いつの間にこんなに大きくなったのかしらっ!
また帰ってくるから。元気にしてるのよ?」
「うん!」
「千翼君、紫音をよろしくね。本当に頼りにさせてもらってるわっ」
「はい、任せてください」
こうしてお母さんはまた、世界に飛び出していった