愛を私の音色に乗せて。



「だだいま~」

「おかえり」

今までは無かった「おかえり」って言葉が疲れを吹き飛ばしてくれる。

「なんかいい匂いする…」

「夜ご飯作ったから一緒に食べよ?」

ちぃ君が作ってくれたの…?私の好きなお好み焼きだし…!

「ありがとう!早く食べたい!」

お好み焼きはほんと美味しくて、あっという間に食べちゃった

もう11時かぁ
明日は土曜日だけど、朝早くからバイト行って…終わってからバレエに向かう。

よし、早く寝よ!

「お休みちぃ君」

リビングでテレビを見ているちぃ君に声をかける

「あれ、もう寝るの?」

「うん、明日朝からバイトなの。
だから朝いないと思っておいて?」

そう言って自分の部屋に戻ろうとすると、

「は!?バイトしてんの!?」

「…言ってなかったっけ?」

「聞いてない。
それに、ユリさんあんだけバリバリ働いてんだから、
働く必要なくない?」

そうなんだけどね…
お母さんは毎月有り余るほど仕送りしてくる

なんの仕事してるのかはよく分からない。

「バレエの月謝くらいは自分で出したいなぁっておもって。
高校入ってすぐから始めたから、もう一年くらいかなぁ」

「はぁ…」

なんで溜息…?

「バイト、いつ行ってんの?」

「え?月曜と木曜と土日かな?」

「バレエはいつ?」

「んー、火水金土曜かなー」

「はあ!?お前いつ休むの?!
大丈夫なのか?体…」

あぁ、心配してくれてたんだね…

「心配してくれてありがとう!
私は大丈夫だから。

それに、あと1週間でバイトは辞めるの。
お金も貯められたし、最後の最後くらいバレエに集中したいじゃん!」

ある程度のお金が貯まるまでって始めたけど、
意外にも早く貯まったかもう辞めちゃう。

「努力家なの昔と変わってないんだな。本当すごいよ。
呼び止めてごめんな、明日早いんだろ?
おやすみ」

「あ、うん。おやすみ!」

< 30 / 261 >

この作品をシェア

pagetop