愛を私の音色に乗せて。
お店もオープンし、ぞろぞろとお客さんが入り始めた
今日はカウンターで庄司さんと2人で接客
「本っ当〜に、紫音ちゃんやめちゃうの悲しいわぁ〜」
庄司さんが急に目に涙を浮かべ始めた
もう辞めることは伝えてあるし、常連さん達もそれを知っている
「なぁ紫音ちゃん、あと1年ぐらい続けたらどうや?な?
おっちゃんら紫音ちゃんおらんかったら寂しいわー。
せっかく美味しいアップルパイも味気なくなるで」
そう言ってくれる常連のおじさん
私もこんなに良いところ、辞めたくなんか無いよ…。
「私もやめたくないですよー」
「じゃあ紫音ちゃん!ここに就職しな!あたしは紫音ちゃんならいつでも大歓迎よ!?」
庄司さんが迫力満点のイケメン顔で近づいてくる
「あはははっ、私なんか雇っ……」
「私なんかじゃなくて、貴方だからなの〜!」
私をぎゅーと苦しいくらいに抱きしめながら庄司さんに説得される
「庄司さん苦しい…」
と庄司さんの腕を叩く
「庄ちゃん、シオちゃんが困っとるやないか、離したり〜」
「あら、ごめんなさいね♡」
と、思ってなさそうにそう言った
本当、辞めるの勿体無いな…
「庄司さん、やめた後でもここに遊びにきて良いですか?」
「もちろんよぉ!紫音ちゃんならいっぱいサービスしちゃう!」
夢が叶ったらいつか恩返しをしよう。