愛を私の音色に乗せて。


それから何日かたち、今日はバイト最終日。

庄司さんが

「送別会やるから夜は店閉める!」

って言ってくれて。

「ありがとうございました!またお越しくださいませ!」

最後のお客さんが帰り、店の中が静かになった

ここに来て1年間、
いろんな体験ができたなぁ…

カウンターから店内をながめていると

「紫音ちゃんっ」

「最後の仕事お願いしても良い?」

「はい!もちろんです!」

「ここにアップルパイ届けて欲しいの。いい?」

「わかりました!」

私はアップルパイを持って少し離れたお店に持っていった

この仕事、本当に楽しかった。
夢がなかったら絶対に続けていただろうなってすごく思う。

ついでにと頼まれたお使いをして、店のドアを開けると

「紫音ちゃんお疲れ様!」

「うぇっ?!…びっくりした、」

アルバイトの子やパートさんがクラッカーを鳴らして出迎えてくれた。

「お疲れ様、紫音ちゃん」

奥から庄司さんがケーキを持って出てきた

うわぁ…うぁ、

「ほらほら、そんなに泣かないのシオちゃん!可愛い顔が台無しよ?」

嬉しくてでる涙って幸せだよね。
庄司さんが私の涙を拭ってくれる

「…皆さんありがとうございます。」

「もうっ、そんなにかしこまらないでよ!さっ、料理が冷めないうちに食べましょ?」

とっても楽しい時間だった。あっという間の時間。

「あ、紫音ちゃん!これ、私からのプレゼント。もらってちょうだい?」

庄司さんが私にくれたのは、

部屋に置くアロマ。私好みの柚子を選んでくれたんだって…

そして、

「私たちからはこれです!」

アルバイトの子たちからもらったのは、
みんなで映った写真が入った写真たて

もう、なにもかもが幸せすぎて、
止まってた涙がまた溢れ出す。

「もぉ泣かないでよ!私まで泣けてくる…」

「え…庄司さん泣いてるの…?」

すると庄司さんにぎゅっと抱きしめられ、

「ここにきてくれてありがとう。またいつでも遊びに来ていいから、
このお店がなくならない限り、ここに私たちはいるから。

本当ありがとうね。楽しかった!」

そう言われて、
本当に幸せな日々だったんだなぁと
改めて実感させられた。
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