愛を私の音色に乗せて。



「紫音?あ、いたっ。
…ん?あ!この前の…」

「あ、お邪魔してます!」

学校から帰ってきたちぃ君が顔を覗かせた

「紫音の歌聴いてたの?」

「はい!凄いですね本当に…
今からもう一曲歌ってもらうんですけど、一緒に聴きませんか?」

「おっ、いいね」

…2人同時に聴かれるのは緊張し過ぎるんですが。

いや、これも練習だね!

《忘れない 忘れない
何度 生まれ変わっても
忘れない 忘れたくない
あなたの事は 胸の中に
仕舞います

いつだって 心の中にいる
私の王子様に
なんどでも 恋をします》

「しぃ、あたしあなたのファン第1号になりたいって切実に思うのよ。だから早くデビューして?!
あんたの歌本当最高だわ…」

肩をガクガク動かされていると、

「ダメです。ファン第1号は俺がなるんで第2号になってね〜」

ちぃ君がそういいながら私をはるちゃんから剥がす

「先輩は彼氏って言う特権持ってるんだから譲ってくださいよ?」

「やだよ!…そうだ紫音、オーディションで歌う曲決まったの?
俺、今の歌いいと思うんだけど」

「え…?オーディションを受けるの!?」

「うん!ゴールデンウィーク中に、アサヒナエンターテイメントってとこのオーディションを受けるの。

大きな事務所だから、ダメ元みたいなもんだけど…
やってみようと思って。」

ダメ元でもやってみる価値はあるし。ね?

「…今、アサヒナエンターテイメントって言った?
言ったよね?」

「言ったけど…?」

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