愛を私の音色に乗せて。
「あの、1つ聞いていいでしょうか…」
「いくらでもどうぞ?」
「私、今歌ったばっかりですし、他の人達の審査とかもあるじゃないですか…」
だって、そんなにすぐ決まるとかおかしいくない?!
いくらバカでも、おかしいって分かる。
「あぁ、そう思うよね。
実は、今日オーディションに来たのは君だけなんだよ」
…なんで?!
「2日目の審査が終わった時点で、ほとんど君に決まってたんだ。
最終審査で歌ってくれる曲を他の社員にも聴いてもらってから、本決めにしようと思って。
でも、その歌が想像をはるかに超えた作品だった。だから、全員が賛成したんだよ」
嘘でしょ、
そんなに早くグランプリ決まってたんだ…
なんか、嬉しすぎて、驚きすぎて、
一周回って何故か平常心になっている。
「改めて、おめでとう!
3019人の頂点に立ったのは君だよ。」
「3019人!?」
そんなにいたの!?知らなかったんだけど、
「だから、このことを君は誇りに思っていい。
これから僕たちの事務所で、頑張ってくれるかな?」
そんなの、断る理由がない。
「はい、よろしくおねがいします…!」