愛を私の音色に乗せて。



私は身長が156㎝と高くはない。

でもバレエで培ったジャンプ力のおかげで、ハンデなんか何にもない。

「ねぇ!君が噂の天才少女ちゃん?」

ボールをバウンドさせながら遊んでいると、
後ろから先輩らしき人が声をかけて来た。

「あ、お邪魔してます…
天才少女…では無いんですけども、伊藤といいますっ」

「いや、杉田にさっき聞いたんだよ!
俺、高宮一樹。試合楽しみにしてるね!」

高宮というらしい3年生の先輩に挨拶すると、自然と私は先輩と同じチームとなった。

ちぃ君と杉田君はおんなじチームのようだ。

残念ながら、私たちのチームは2点差で負けちゃったけど、すっごい楽しい!

「ハァ、ハァ…
負けちゃったね伊藤さん、」

「ですね〜、でもすっごい楽しかったです!」

「良かったぁ、
と言うか伊藤さん…なんで息切れてないの…?!」

「んー、このくらいなら平気ですよ?」

汗はかいたけど、あんまり息は上がってないし、疲れもそれほどない。

「本当天才少女だな…」

「だろ?」
 
「あ、ちぃ君!」

漫画でよく出てくる、汗を拭くだけでイケメン度の増す主人公そのもののちぃ君が、私の頭に手を置いた。

「紫音、ホントどんな体力してんだろうね」

「普通なんだけどなぁ。」

「紫音の普通は普通じゃないの。なぁ一樹、コート借りて良い?」

「いいよ!」

ちぃ君何するんだろう?

「ん、ありがと。
紫音、久しぶりに1on1しない?」

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