Bloody Kiss♡
あたしが囚われていた建物は、ファミレスの倉庫だった。
抜け殻になった店長は、セトが元の姿に戻し事務所のソファに寝かせた。
館に向かう車の中で、皆 無言だった。
セトもホルスも何も話さない。
そんな二人に、あたしの憂鬱は増した。
セトに奉仕すること。
それがトカゲ男から助けて貰う条件だった。
あたしの頭の中は、スゴい妄想で埋まっていた。
あんな広い屋敷。
地下室に怪しい部屋があったって不思議じゃない。
『ご主人様♡』
なんて言って、コイツの言いなりになるの?
─ そんな屈辱的なこと‥
絶ッ対にイヤ!
広い道路を右折して、車はセトの館を目指し走って行く。
ネオンの灯るカラオケ店の前を左折して、車は閉鎖した工場をすり抜けた。