Bloody Kiss♡
表紙を開いた彼は、パラパラとページを捲った。
そして
「読めるか?」
と、あたしに向けて その書物を差し出した。
ページには、うっすらと文字らしきものが滲んでいる。
それは、あの朝 見たものと同じだった。
「読めないし‥。」
呟きながら書物に手を触れた時、文字が浮かび上がって来た。
最初、ぐにゃぐにゃと不規則に揺れていた文字は、次第に列を作った文章になった。
「あ、読める。」
あたしは、文字の羅列を目で追った。
そこには、セトが仄めかしていた花嫁の条件が事細かに書いてあった。