Bloody Kiss♡
鳩尾に掛かる重力が、たまらなく心地好い。
予言書のことなんか頭から吹っ飛んでいた。
キャーキャーと叫びながら、あたしは、闇に吸い込まれるような感覚を楽しんでいた。
もの凄いスピードでコースターは上昇と下降、そして、回転や蛇行を繰り返し、また空に向かって上昇して行く。
耳元でスリラーが鳴り続けている。
あたしは、ふとセトを振り向いた。
両腕を組みリラックスした姿勢で、彼は夜空を見つめていて
「ロナ、前。」
と、言った。
「え?」
咄嗟に、正面へと視線を戻した。
「うそぉ!!」
あたしの瞳には、ブラックダイアモンドの夜空と
「セト!無いっ!!」
切れたレールが映っていた。