Bloody Kiss♡
不安を感じながら、セトの横顔を見つめた。
彼は、右手を挙げるとパチンと指を鳴らした。
瞬間、目の前に歪(イビツ)な形をした馬車が現れ、音を立てず扉が開いた。
そして、中から黒いドレス姿の女の人が降りて来た。
青白い肌と黒い瞳。
瞳と同じ黒い髪は、ロールアップに結わえられている。
その姿は妖しいまでに艶めいていて、呆気に取られるあたしに冷たい微笑を見せると、彼女はセトを見つめた。
そして
「セト様、お待ちしておりましたわ。」
と、ドレスの裾を軽く上げ、中世の貴族のような お辞儀をした。