Bloody Kiss♡
「ガーデンへ。」
馬車に馭者の姿は見当たらない。
なのに、マリィは行き先を告げたようだった。
青白いキャンドルの炎が空間を照らしているけど、小窓からは闇以外、何も見えない。
動いているのか停まっているのか、震動さえ感じない。
それくらい、馬車に揺れは無かった。
向かいに座ったマリィは、口元に微笑を湛えたまま何も話さない。
これから向かう場所と行われる何かに、僅かな好奇心と相変わらずの不安を抱えて、あたしも黙っていた。