Bloody Kiss♡
マリィは、あたしを見つめた。
その瞳に何故だか温もりを感じた。
「あなたは魔物じゃない。そうでしょ?」
二度目の問いに、答えをくれようとしたのかどうかは分からない。
彼女が、その艶やかな唇を開きかけた時
「マリィ・リマ様!マリィ様!」
空から彼女を呼ぶ声が聴こえ、その途端、マリィの瞳から温もりが消えた。
「このガーデンに住まう者は誰も、自分が何者かを存じておりません。わたくしも、あの幻惑鳥も皆、魔王様の命を成し遂げる為に存在するのです。」
そう言って、マリィは頭上を旋回する銀色のカラスのような鳥を見上げた。
幻惑鳥と呼ばれたその鳥は、再度
「マリィ様!」
と、彼女の名を呼び、お城へと飛び去った。
「準備が整ったようですわ。では、参りましょう。」
マリィは真珠色に輝く城へと、あたしを促した。