Bloody Kiss♡
「マリィ様は政略結婚のため、他国より嫁いでおいでになられました。持って生まれた無邪気さ故、それはそれは、胸いっぱいに希望を抱いて‥。ですが、ワガママな王様は、マリィ様のお心を満たすことよりも、予てから繋がりのある愛妾との情事に忙しくされる毎日でございました。公務を怠り国民に重税を課し、愛妾を宮廷に住まわせ、すき放題に振る舞う王様に呆れ果て、マリィ様は御身を離宮に移されました。そして、私を含む数人の家来と共に、お寂しい日々を過ごされていたのです。そんな時‥。」
国王が開いたパーティに、マリィ・リマは王妃として形式だけの出席をすることになった。
そして、そのパーティで隣国の貴公子と出逢った。
たった二言三言、会話を交わしただけ。
なのに、その貴公子にマリィのココロは奪われていた。
「初恋だったのです。18歳のマリィ様の、それが初めての恋でした。」
遠い過去を回想し、ミューは目を伏せたまま淡々と語っていた。