Bloody Kiss♡
「マリィ、飲んで。」
聖杯を差し出すあたしを、彼女は訝しげに見つめた。
そして、躊躇したものの拒否することなくそれを受け取り、艶やかな唇をあてた。
マリィの喉がゆっくりと上下する。
半分ほどを飲み終わった時、彼女は生気を取り戻したように明るく微笑んで
「ミュー、あなたも。」
と、聖杯をミューに手渡した。
すべて思い出した。
マリィは、そう言った。
自分が何者で、何故、この異界にいるのか‥。
だけど
「帰るんだ、人間界へ。女神様は それをお望みだよ。」
クピドーの言葉を聞いた途端、マリィは取り戻したはずの生気を失い
「例え、元の世界に戻れるとしても、ジョルジオ様にお会いすることは叶いません‥。」
と、哀しく呟いた。