Bloody Kiss♡
stair.09 Tears
「マリィ、大丈夫かな?今の人間界でやってけるかな‥?」
ひたすら真っ直ぐに走り続けるジェットコースターの中で、独り言を呟いた。
それが聞こえたみたい、セトは
「アイツは女神の娘。並の人間じゃねーんだぜ。」
と言うと、前方を見つめた。
そして
「そろそろだな。」
と、目を細めた。
途端、ブラックダイアモンドの夜空に真っ赤な亀裂が入った。
その亀裂は、どんどんと空間を広げ、夜空に紅く丸い空洞を作った。
「あれが魔界‥?ミス‥なんだっけ‥?」
「ミスティックステイトだよ。」
心拍数が一気に上がった。
緊張が どっと押し寄せて来た。
「魔王に会うの?」
「その為に来たんだろ。馬鹿。」
冷静に憎まれ口を叩くセトに腹が立つのに、言い返す余裕も無い。
恐怖に叫ぶ間も与えず、速度を上げたジェットコースターは、燃えるような赤の空洞へと猛スピードで突っ込んだ。