Bloody Kiss♡
「おやおや、花嫁様がはしたないことで‥。」
ホルスは遠慮がちに距離を取り
「帰りたい!」
と、膨れっ面になるあたしをスルーして、セトに向き直った。
「セト様、魔王様がお待ちかねでございます。」
恭しくそう言ってホルスは一礼し、城の中へと踵を返した。
確かめたいことがあるなんて好奇心に負けたことを、どんなに後悔しても今更引き返す選択肢は無い。
セトとホルスに挟まれ、あたしは前に進むしかなかった。
何故なら、ベルトコンベアのように廊下が勝手に動き出したんだ。