Bloody Kiss♡
長い長い廊下は寒々としていて、それに、時折 通り過ぎる魔物から悪臭がしている。
「くっさー!こんなとこで住みたくないっ!」
「お前、往生際の悪さは天下一品だな。花嫁になるって決めたから来たんだろ。諦めろよ。」
「うるさいねん!あほ吸血鬼!発言の自由は憲法で認められてるし!」
その憲法が通用する世界じないことは、百も承知。
グダグダ言ったところで、魔王の間への距離は一歩一歩縮むだけ。
ダークな装飾の大きな扉の前でホルスは立ち止まり、大声を上げた。
「我等がルシフェル様!悪魔の大王様に申し述べます。花嫁様のご到着にございます!」
またもや、音を立てず開く扉。
映画で見た悪魔の姿が脳裏を過ぎる。
だけど、薄暗い部屋の奥、黒真珠で飾られた玉座に座っていたのは
「絽那、久しぶり。」
「え‥?」
あたしが知っている姿の七海だった。