Bloody Kiss♡
「お嬢様、如何でございましたか?セト様と私の迫真の演技は。」
入口の扉を開けて、笑顔のホルスが姿を現した。
「なんで‥?え?なに?」
途端、あたしはパニックになった。
「敵を欺くには、まず味方からって言うだろ。」
壁にもたれて、セトが悪戯な笑みを見せる。
「騙したん?」
あたしは立ち上がった。
「すごく怖かったのに!セトが死んで、すごく悲しくて、すごく不安やったのに!」
悲しみの涙は、悔し涙に変わった。
どこまでも馬鹿にされているように感じた。
「こんなの縫って損した!ふざけんな!あほ吸血鬼!」
セトに会えた嬉しさより、怒りの方が勝っていた。
あたしは、縫い合わせた彼の服を投げ捨てた。
「落ち着けよ、ロナ。こうするしか方法は無かった。魔王を消滅させるには、何よりも純粋な愛が必要だったんだ。」
セトは真剣な目で、あたしを見つめた。