Bloody Kiss♡
これまでずっと悪魔の花嫁となった人間の女達は、魔王の怒りに触れないよう、従順に振る舞うだけだった。
命令されるがままにサタルドを産み、魔界の繁栄のため、魔王に仕えた。
「でも、お前は違った。命懸けで魔王を変えようとした。人間界の平和を守るために自らを犠牲にし、純粋過ぎるほど純粋な愛で魔王を説得した。ロナ、お前はルシフェルの本当の姿に気付いた。それが魔界を絶滅へと導いたんだ。」
── 全ては瞳に映り、繁栄と絶滅が訪れるであろう ──
それは、魔界の繁栄では無く、人間界の繁栄。
人間界の絶滅では無く、魔界の絶滅。
「黒魔導士さえも予言出来なかった“見破る者”。だからこそ、最強のサタルドを宿す力があったんだろう。お前は、その力さえも愛に変え、悪魔の血を絶った。そして、魔のロザリオ、ブラッディキスの存在の意味を変えた。」
セトは、屋敷に置き忘れたあの分厚い書物を こちらに向かって放り投げた。
あたしは、それを受け取り最後のページを開いた。