Bloody Kiss♡
そこには、滲んで読めなくなった文字の跡だけが並んでいた。
そして、それは見る見るうちに消え、真っ白なページだけが残った。
「何もない‥。」
「魔王の消失と共に、この予言書も役目が終わったってことだな。見ろよ。」
あたしは足元に視線を落とした。
粉々に砕けたはずのロザリオは復元され、淡くbaby pinkの光を放っている。
「もう、悪魔の物じゃなくなったってこと?」
「ああ。それは、お前の物になった。そのロザリオを嵌めれば、人間界へと戻れるはずだ。」
「マジで?帰れるん?」
「ただし、ロザリオの魔力は人間界に戻ると同時に消える。でも、そうだな‥、マダガスカルローズクォーツくらいには効果はあるかもな。」
セトは冗談混じりにそう言うと、一瞬、悲しげな表情をした。