Bloody Kiss♡
「そうだな。」
セトは頷くと、にっこり笑って言ったんだ。
「オレが魔王を消そうとした動機は、一目惚れだ。黒魔導士の水晶に映るロナに惚れたからだ。己のモノにならなくとも悪からは遠ざけたい‥。そう思うのは当たり前だろ。欲しかったのはブラッディキスじゃない。お前だよ。」
─ え‥?
サラマンドラは、その時、セトと一緒に水晶を見ていた。
「オレが手に入れたい‥。」
そう呟いたセトの言葉を、サラマンドラは『ブラッディキスを奪取する』ことだと勘違いしたらしい。
「ちょ、待って。」
「ん?」
「それって‥?」
「バンパイアが人間の娘に恋をしたってことだ。なんか異議ある?」
セトは、悪戯な笑みを見せた。
そして
「七海じゃないかって疑問は、ハッキリ否定する。オレもホルスも、この世に誕生して300年以上が経っているし、成仏出来ない人間が魔物になるなんて戯言は、愚かな人間の妄想に過ぎない。残念だが、オレが七海である可能性は皆無だ。アイツは天国で幸せに暮らしてるよ。それは、女神に確認済みだ。」
と、言った。
セトは七海じゃない‥
あたしに恋をして、魔王から守りたかっただけ‥
でも、 それなら‥