Bloody Kiss♡


喜んでくれると思っていた。

なのに、セトは浮かない顔をしていて

「嬉しくないの?あたし達の赤ちゃん‥。」

「魔界が崩れる直前、オレ、言っただろ。バンパイアと人間の共存は、特に無理だって‥。」

セトは憂鬱な顔で理由を話した。


ある時期から、吸血族には女の子が誕生しなくなった。

その為、吸血族の男達は、人間の女性を探し求めるようになった。


人間の女性と結ばれ、子孫を残す。

だけど、それが吸血族を絶滅へと追いやる原因になった。


「なんで?」

「オレ達魔物は永遠に生き続ける運命だってことは、出会った頃に話しただろ。消滅しても何れは復活する。でも、吸血鬼に限っては命を絶つ手段が無くもない。そうも話したよな。」

「うん‥。」


あたしは、不安になっていた。

それでも、お腹の子の為に逃げるわけにはいかなかった。


「だから?なに?」


そう促した時、セトは、とても哀しい目で答えた。


「バンパイアと人間の間に産まれた子どもは、バンパイアバスターになる。その子どもは泣き声に特殊な怪音波を発し、親であるバンパイアの命を絶つんだ。」


 
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