Bloody Kiss♡
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「ロナ‥、なんで死のうとしたん?」
霧の中で、誰かが問い掛けている。
顔は、よく分からない。
中学生くらいの少年。
「なんで、死にたいと思ったん?」
「それは‥。」
答えられなくて、口ごもった。
そんなあたしに、彼は とても哀しい声で
「もう、僕のことなんか忘れたんやな‥。」
って、言った。
瞬間、複雑な感情が込み上げて来た。
哀しみと後悔と怒り‥。
「忘れてない‥。忘れてなんかないもん‥。」
あたしの目に涙が溢れる。
「七海くん‥。七海くんでしょ?」
そう呼び掛けた時、ぼやけていた輪郭がハッキリと見えて来た。
だけど
「誰がナナミくんだって?」
─ え‥?
目の前に現れたのは、銀色の髪の青年。
セトだった。
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「なに泣いてんだよ。」
目覚めたあたしのおでこを、セトは指で弾いた。